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東日本大震災から11年が経ちました。

息子が11歳になりました。こんにちは、クライムマネージャーの伊藤です。

私の息子は、東日本大震災の直前に、福島で生まれました。だから、息子の誕生日が来るたびに、震災があった日のことを思い出します。

同じ東北でありながら秋田県は、太平洋側の地域に比べて奇跡的に震災の被害を免れました。当日も、停電になった程度で、早く冷蔵庫の中身を片付けないとなあ…なんて多少のんきに構えていた記憶があります。しかし、出産のため福島に帰っていた妻やその家族たちとは連絡が取れない。状況が把握できないまま時間が過ぎ、やっと連絡がついた時には心底ほっとしたと同時に、妻から入る断片的な被害状況に、とても大変なことが起きているという焦りと不安に駆られました。秋田と福島では、あまりに被害状況が違いすぎて、うまく事態を把握できなかったのです。

震災から数日たって、やっと福島に行くめどが立ち、ガソリンや食料などを携えて家族を迎えに向かいました。岩手、宮城を経由して向かったのですが、福島までの道中は、道は壊れ、店は閉まり、壊れた街並み。今までの生活では全く想像できないような光景が広がっていました。

あれから11年。復興は進み、事実や記憶は風化しつつあります。いつまでも、あの時のことをそのまま覚えておくことはできないでしょう。だから、私が震災から学んだこと、「生き残る方法」を、子供たちに伝えていこうと考えています。いつ起こるかわからない災害。家族と一緒にいれば何とかなるかもしれない。でも、もし一人でいるときに困難に直面したら?だから、助けを待つ何時間もしくは何日間を、自力で生き延びる経験値とメンタルを、少しでも持てるように導いてやりたい。そのきっかけ作りが、野遊びでありキャンプだと考えています。

自分で火を扱い、寝床や居場所を確保する。ケガをしたり具合が悪くならないよう、自分の身を守るため注意して過ごす。助けを待つ間、なるべく心穏やかに過ごす。

自分の命を守る方法はいくつもあるけれど、実際に、「自分で考えて、自分で試す」経験を積むことが、命を守ることに直結するのではないでしょうか。

外で一緒に遊んだり、キャンプを経験する中で、少しずつ「自分で考え、自分でやる」経験は積み重なっていきます。焚火の火に近づきすぎれば、熱い。ナイフやロープ、ハンマーなど、道具の使い方がわかる。テントや寝袋でなかなか眠れない夜を過ごす。などなど、遊びの中から、楽しみながら、いざというときの練習ができるのが、野遊びでありキャンプだと考えています。

 

3月11日を忘れない。3月11日から学んだことを伝えていく。そのためにも、私たちClimb(クライム)は、キャンプや野遊びの面白さや大切さをここから発信し続けていきたい、そう思っています。