Chie Blog
展示会巡りの旅2018 Vol.1 ~MURACO×モノ作り~
毎年恒例、「展示会巡りの旅」へ1月の末から出かけてきました!
Facebookでリアルタイムにご報告した内容と、お伝えしきれなかったことを盛り込んでこちらであらためてご報告したいと思います。
今回の旅は…
この旅を始めたころは、新しいアイテムに出会う感動と喜び、ワクワクする気持ちをみなさまと共有したくて、あれこれご報告してきました。しかし、アイテムの「魅力」をお客様に伝えるためには、作り手の思いや仕事といったアイテムにまつわる「背景」も知りたい、伝えたい…そう思うようになりました。
そこで今回は新しい試みとして、Climbで取り扱うメーカーの工場や会社を見学しながら、実際に作っている人たちの声を聞くことをメインに、じっくり「モノ作り」について掘り下げることを旅の目的としました。
もちろん、新商品についてもあちらこちらに散りばめて、できる限りご報告していきますのでお見逃しなく!!!
Vol.1 MURACO(ムラコ)
2018年1月31日…株式会社シンワさんを訪問して来ました。
そう、今シーズンも目が離せない、ブラックギア「MURACO」の村上社長に会いに行ってきました。
「MURACO=シンワ」
実は、今回訪れた埼玉県狭山市にある高精度金属切削加工の会社であるシンワさんが、このMURACOを展開する会社です。
狭山市といえば「狭山茶」くらいしか知識のなかった私。お茶のイメージから、茶畑がどどーんと広がるのどかな雰囲気のところなのかと思いきや…
広大な工業地帯!
通りに一つも茶畑は見つからず、私が通って来た道なりだけでも、自動車メーカーのホンダ、コアラのマーチのロッテ、ヨーグルトや乳製品の小岩井農場、セロテープのニチバン、化粧品のコーセーなどなど…
日本を代表する精密機械、電子部品、化学薬品、食料品などの多種多様な企業が多数工場をかまえる、ここ狭山市は「モノ作りのまち」なのでした。
その中で、主に工作機械メーカーの仕事を請け負ってきたのがシンワさんです。
「MURACO=ムラコ」
もともとキャンプ好きだった社長の村上さん。
様々なメーカーの道具を使って遊ぶうちに、自身の会社の技術を使って、もっと良い道具を、オリジナルの物を、今度は自身がメーカーとなって作りたい!と思うようになったそうです。
そこで、2016年から新規事業として始めたのが、アウトドアのギアの企画、製作。
「MURACO」の誕生です。
ブランド名の「MURACO(ムラコ)」は、村上さんの子どもの頃のあだ名だそう。
つまり、自身の名前をつけた自分のブランドでアウトドア業界に勝負をかけたわけです。
「MURACO=モノ作り」
MURACOといえば、ブラックやグレーのモノトーンで男前な顔のギア、といった、ビジュアルにスポットが当たりがちですが、実は、MURACOの真骨頂 は「ポール」です。
NORTHPOLE™
MURACOで最初に企画・設計・制作された商品。タープを立てる際に使うポールです。
シンワの持つ高精度の金属加工技術と知識と経験をギュッと詰め込んだのがこのNORTHPOLE™シリーズ。
A5056H18アルミ合金という、非常に強固で加工が難しいため流通量が少ない素材を使い、商品化に成功。ポール先端の加工や、着脱式のパーツ部分など、性能とそのこだわりには、細部に渡ってシンワの技術が生かされています。(詳しくはMURACOホームページをご参照ください。)
日本のアウトドア業界の製品で、現在、メーカーが自分のところで企画から製作・検品まで一貫して行っているものは実はほとんどありません。
メーカーが企画したアイテムを、信頼と実績ある工場とのやり取りで海外で製作してもらい検品。世の中に商品として出ていくのが現状です。
それをあえて、商品の全てではないものの、自身の会社で企画・製作・検品・商品化まで実現する。
これを可能にしたのが、シンワの高精度金属切削加工技術です。
日本のトップメーカーである顧客が求める多種多様なパーツ製品を、高いクオリティと決められたコストを維持しながら、納期までに納める。
これを40年以上続けてきたシンワの技術と経験が、MURACOの真骨頂であり、「モノ作り」なのです。
「MURACO= 超えてゆく」
2017年の7月。東京代官山にショップが完成したばかりの時、MURACOのTシャツを着て、MURACOのギアに囲まれたスタイリッシュなたたずまいで初めてお会いして以来、半年ぶりに再会した村上さん。
「Shinwa」の会社のロゴが入った濃紺のウエアを着て、社内を案内しながら会社について語るその姿は、前回お会いした印象とはまるで違うのでした。
会社と、そこで働く従業員とその家族の未来を背負い、立ちはだかる壁をなんとか超えてゆこうとする、とてもじりじりとした強い力が今そこにはありました。
自分の会社の強みを生かした、自分たちにしかできないモノ作り。
そう、MURACOの顔である黒いテントのように、既成概念を超えて、新しいデザイン、新しい使い方、新しい楽しみ方、独創的な製品設計で市場に認められるため、現場で真摯に「作ること」に向き合う従業員と、その「作る会社」を存続させることに懸命に突き進む村上社長。
そんな熱い現場を目の当たりにし、たくさんのことを勉強させてもらいました。
「まだまだできることあるじゃない。ぼやぼやしてると、Climb置いて行かれるよ!!」
先を進む村上社長にそう尻を叩かれた気がして、私は次の旅路を急いだのでした。(続く…)