桜雨

大仙、雨である。

 

 

今まさに満開を迎える市内の桜が、雨に濡れ、地面にその桃色を惜しげも無く散り広げている。

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その様を見ると、何故だろう、心はやり、乱れる。

 

 

雨に濡れた桜は、青空の下咲き誇る桜より赤く、幹は黒々とまるで地面にあいた穴のように漆黒さを増す。

 

 

 

曇天の下の桜は、妖艶な姿を雨に晒すかのような危うさと切なさを感じるのだ。

 

 

 

雨と共に散り急ぐ姿も、

 

激しく降り注ぐ雨に、無抵抗でうたれる姿も、

 

心乱される。

 

 

 

それは、その美しさが刹那であることを私が知っているからだろう。

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そこで、昨日の花火である。

 

まるで、散り急ぐ桜のようではないか。

 

 

 

桜よりも儚く、刹那の美。

 

 

その美しさを、いつまでも目に焼き付けようとしても、見つめた瞬間に姿形を変え、散ってしまう。

 

 

記憶の中で、その姿をたぐろうとしても、ぼんやりとした切ない思い出だけで、つかみどころがない。
だから、桜も、花火も、見たくなるのだろう。

 

 

 

わかっているのだ。

 

瞬時に咲き誇り、すぐに茫洋とした思い出に変わることは。

 

だがしかし、見たい。

 

心乱されたい。

 

 

 

 

 

明日も、春の宴が開かれる。

 

雨が降ろうが、風が吹こうが、それもまた趣深いものになろう。

あと、3日間。

 

刹那の美しさに心乱されに、大曲の花火〜春の章〜、桜と火花の競演に、ぜひ足を運んでほしい。

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