肌着の勇姿「エベレスト登山隊」~健繊ひだまり肌着「チョモランマ」伝説~

「秋田の冬のスタンダードにしたい!」と、毎年この季節になるとクライムが”ワイワイ”ご紹介を始める肌着がある。それが、繊維メーカー健繊(けんせん)の作る、史上最強に暖かい肌着「チョモランマ」である。この肌着には、機能性のほかにも、私たちを魅了してやまないエピソードが山ほどあるのだ。

そこで、クライムにご来店いただいたお客様には、ちょこちょことお話ししている物語も含めて、思い出してはここにご紹介していこうと思う。

 

エベレスト登山隊


たびたびClimb(クライム)のブログ等でも登場している、こちらの写真の男達が今日の主人公。群馬県山岳連盟エベレスト登山隊である。
よくお客様から、「えっ、合成でしょ?」などと疑われる、かなりインパクトのある写真だ。しかし、今から遡ること1991年、世界最高峰であるエベレストの5350m地点にて、チョモランマの前身となるひだまり肌着を着用して撮影された、紛れもない本物の写真なのだ。

 

そもそも、この肌着姿で堂々と立ち並ぶ、群馬県山岳連盟の「エベレスト登山隊」とは、いったい何者だったのか。

 

1993年12月、この寒さ厳しい冬季に、エベレスト登山の最難関ルートである「南西壁」を通り、有酸素状態(酸素ボンベを背負って)で世界で初めて登頂に成功したグループなのである。

 

 

エベレスト最難関ルート「南西壁」


エベレストは、標高8,848mの言わずと知れた世界一高い山だ。ネパールと中国の間に位置し、ネパール側、中国側どちらから頂を目指すかでももちろん難易度は違うが、そのルートの中で、技術的に最難関と言われるのが南西壁だ。

南西壁が最難関だと言われているのには訳がある。アイスフォールと呼ばれる氷の迷宮のような岩場を潜り抜け、巨大なクレバスを進み、道無き道を切り開きながら、氷の壁面をよじ登らねばならない、超過酷なルートだからだ。

 

世界で一番高い山の、最も難しいルートを、しかも冬季という、登頂するためには最も過酷で無謀な季節にアタックしたのが、当時の群馬県山岳連盟 エベレスト登山隊であった。

「世界屈指の登山集団」とも崇められた、登山界のスター集団である。そのメンバーの中には、現在、日本山岳連盟の会長を務めている八木原圀明氏がいた。八木原氏は、日本山岳・スポーツクライミング協会の会長も務めている。これから開催が予定されている東京オリンピック。その中で新種目となった「スポーツクライミング」という競技を、オリンピック種目に加えるために、先頭に立って尽力された功労者でもある。

 

そんないわば「山のレジェンド」が所属していた山岳隊が、世界最高峰のエベレストを冬季に、しかも最難関ルートの南西壁を通り登頂に成功した際、着用していたのが「ひだまり肌着」だった。

 

 

 

ひだまり肌着


そもそも、なぜひだまり肌着を着ていたのか。

エベレスト登頂を目指すためにまず立ちはだかるのが、「資金」の壁だ。トレーニング費用や装備を揃える費用。移動にかかる旅費に、入山料やガイドを雇うための諸々の登山料などなど、登頂までには莫大な費用がかかる。

当時は活動資金が不足していたため、装備や資金はスポンサー頼み。関係各所、様々なところに資金提供をお願いする日々だったという。
そんな折、たまたま登山隊のメンバーと知り合いだった当時の株式会社健繊(けんせん)の社長が人肌脱ぐことになった。その時登山隊に提供したのが、「ひだまり肌着」だったのだ。

後に、見事世界最高峰登頂を成し遂げた彼らは、「ひだまり」の素晴らしさを実感したそうだ。登山にとって一番の大敵、それは汗冷え。昼と夜、日が出ている時間と陰る時間の気温差が激しい中、汗冷えによる体温の低下は時として致命傷になるからだ。装備が暖かいだけでは汗をかく。だから、かいた汗を外に逃して汗冷えせず、体温を保つ効果のある肌着「ひだまり」が非常に役に立った。

当時のひだまり肌着は、繊維メーカー帝人(株)が、ポリ塩化ビニルを用いて開発した「テビロン」という繊維を使用していた。この繊維には吸水率0% という特徴があった。吸水性が高い素材だと、含んだ水が蒸発する際、気化熱で体温を奪ってしまうという特性がある。よって、汗をかけば保温力が下がり「汗冷えして寒い」という結果になるのだが、このテビロンは吸水率0% 。「保温力が下がらず体温をキープできるので暖かい」という画期的な繊維だった。その繊維を用いて作られた「ひだまり肌着」は、汗冷えせずに、体温を保って暖かい装備として、エベレスト登頂のために一役買ったのだ。

こうして無事にエベレスト登頂にチャレンジできた登山隊は、衣装提供してくれた健繊にせめてものお礼をということで「この肌着を着てエベレストに登ったんだ!」という証拠を写真に残し、後に健繊に送ったそうだ。

 

 

 

最高の保温力チョモランマ


エベレスト登頂の陰の立役者となった「ひだまり肌着」に、改良を加え、進化させたのが現在の「チョモランマ」である。

驚異の繊維「テビロン」は、健繊独自の繊維「ダンロン」へと進化。さらに、暖かさをキープするためのキルト加工を施し、三層構造からなる最高の保温力を誇る「チョモランマ」が完成したのだ。

そんな、数々のロマンと偉業を背景に完成した我らが「チョモランマ」。ぜひ一度袖を通してみてほしい。最高の暖かさだけでなく、エベレストを目指した男たちの、熱いストーリーも一緒に感じられるかもしれない。

 

▶健繊 ひだまりチョモランマ ハイネック紳士 L QM902 ¥12,800(税別)

 

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