5歳の男の子、だいちゃん。

だいちゃんの好きなものは、ガンダムとウルトラマンとブロック。

 

 

それ以外の遊びには、興味がない。

 

 

ましてやお絵かきなんて…
落書き帳も真っ白のまま。色鉛筆の頭もとんがったまま。

 

一緒に遊ぼう！って誘っても、

 

「お絵かきはいやーよ。」

 

やっぱりダメかぁ。

 

 

 

でも、ある日パパが買ってきたキットパス。

 

パパが、「だいちゃん、おふろに落書きしようよ！」って言った。

 

「‼︎」

 

「落書き？してもいいの？」

 

パパが「いいよ。」って。

 

だいちゃん、「落書きやるやる！」と言って、おふろ場に飛んで行った。

 

 

パパは、おふろの壁に、白いシートをぺたりとはって、クレヨンみたいなペンを取り出した。

だいちゃんが初めに手に取ったのは、オレンジ色。

ちょっと考えて…えいっ！

書き始めたら止まらない。「まだよ、まだよ。」なんて言いながら、どんどん大きく大胆に描いていく…

「できた！」って言うから、何を書いたか聞いてみると、

 

「四角いのはファミコン。ぼくね、サンタさんにお願いしようかなぁ、って思って。」

 

だいちゃん、いつの間にかゲームにも興味が出てきたんだね。知らなかったよ。

「それじゃあ、この丸いのは？」聞いてみると、

 

「からあげ！」

そうそう、一番好きなのは、からあげだったね。好きなもの、いろいろ書けたね。よかったね。

 

 

その後も、小さな指先がしわしわになるくらい、ゆっくり落書きを楽しんだだいちゃんとパパ。

 

「また、落書きしようね。」

 

って言っただいちゃん。お絵かきは苦手だけど、落書きは大好きになったみたいね。